徒然なるままに~人生三角折主義~

あくびしてる猫の口に指突っ込むときくらいの軽い気持ちで見てください。

storyでワカル言葉の由来辞典①~「面白い編」①~

むかしむかしある所に、サルマクラ族という種族がおったそうな。

サルマクラ族はサルマクラ村に住むとても温厚な種族で一日の大半を農耕に費やし、平穏な毎日を送っていた。

 

ある日のことである。サルマクラ族の長老マルクサの元に一通の手紙が届いた。

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拝啓 丘に桜が咲き、暖かな風が吹いてまいりましたこのごろ、いかがお過ごしでございましょうか。

 

突然のお手紙申し訳ございません、私、サルマクラ村から二里離れたウシグルマ村に住むウシグルマ族の村長のナガラミと申します。

 

先日、わが村の長老であるヨシノヤが長年患っていた病によって息を引き取りました。マルクサ様はわが村の長老と親交が深かったとお聞きしましてお知らせ申し上げた次第にございます。

 

下に葬儀の日程、場所、記しましたのでよろしければご参列の程、お願い致します。

 

日時 よもぎ月こざる日 朱鷺の刻

場所 ウシグルマ村三つ目丘四丁目6-2-3 ヨシノヤ家

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(そうか……ヨシノヤが逝ったか……)

マルクサとヨシノヤは高校時代からの親友であった。

アームレスリング部に所属していた彼等は互いの腕力を競い合い、共にトレーニングを重ねた。毎日トレーニングの終わりに欠かさず行っていた試合は600勝600敗と最後まで決着が付かなかった。

その後高校を卒業をしたヨシノヤはプロアームレスラーを志し、村を出た。このとき彼はマルクサを誘ったがマルクサの首が縦に振られることはなかった。

というのもマルクサには同い年の彼女が居り、卒業と同時に結婚することが決まっていたのである。元気で活発な少女であったが、彼女はサンダイヴァ病を患っていた。

(サンダイヴァ病とは当時流行していた病である。この病におかされると臀部以下の半身から植物の根のようなものが生え、地面に根付こうとする。根、一本一本に神経が通っており切除することは不可能である。最悪の場合、一定の場所から動くことができなくなる。その後、米国の科学者ナハール・サンパイが仔牛の睾丸から特効薬をつくり、数年後には撲滅にまで至った。

サンダイヴァ病がLEVEL3にまで達していた彼女は自分の部屋から動くことさえできなかった。

マルクサは己の夢よりも彼女との生活を選んだのである。

 

 

つづく