徒然なるままに~人生三角折主義~

あくびしてる猫の口に指突っ込むときくらいの軽い気持ちで見てください。

2019年買って良かったもの

今週のお題「2019年買ってよかったもの」

一番買ってよかったのは抗生物質の薬だ。

買うというより処方してもらった。

イガイガとした激しいのどの痛みに悩まされた初冬の風邪に、抗生物質は良く効いた。

……そういう事じゃない?そういう事じゃないか。

更生物質というものがあったら良い。犯罪者に片っ端から飲ませていこう。

保険適用で数百円で買える。

犯罪にかかりかけた人間に処方すれば、この世から犯罪が無くなる。

この世から犯罪が無くなったら警察官の仕事がなくなる。いや、警察官だけではない。検察官、弁護士、裁判官、法律関係者もあっという間に失業者。

政府は失業者対策のために犯罪者支援政策を行う。

犯罪で得た所得に対する税の20%を控除。犯罪準備にかかる費用の30%を国が負担。治安悪化のために街灯の数を減らす。

街灯が減ると、暗くて夜道を歩きづらい。

あぁ、そういえばこないだ懐中電灯を買ったんだった。

買っていて、よかった。

キリンがライオンを牛に売る

キリンHDがオーストラリアの飲料事業会社ライオン飲料を中国の蒙牛乳業に売却したという。

 

キリンがライオンを牛に売るというわけだ。

 

🦒「キリンです。先日、市場に行ったところ一匹のライオンが売られていました。小さな赤ちゃんライオンの愛らしい瞳に、私は首ったけになりました。私は店の主人に値段を聞きました。しかし、私には手も首も届かない値段でした。仕方なく私はすごすごと家に帰りました。」

 

🦒「それでも私は諦められませんでした。でも、ただでさえ借金をしているのにそんな大金を使ってしまえば首が回らなくなるのは明らかでした。仕事も首になってしまうかもしれません。そんなことになったら危機キリンです!どうしたらいいのか……。」

 

🦁「ライオンです。サバンナの広大な大地を母と一緒に歩いていたと思ったら、どこからか大きな音がして、気づけば籠の中に入れられ、この街にいました。この街はてんやわんやの大騒ぎ。父に谷底に落とされた時よりも怖いです。」

 

🦁「いつもだったら、心配ないさ、と叫ぶところですが、さすがに今回は心配です。あぁ、どうしたらいいでしょう。」

 

🐮「牛です。キリンさんに金を貸したのですが、なかなか返ってきません。キリンさんとはウシ亜目仲間なので信じているのですが……。」

 

🦁「ライオンです!やりました!店主が蓋を開いた隙をついて脱出に成功しました!それから僕は獅子奮迅と走りました。後ろからは店主が追いかけてきます。しかし僕のプライドにかけて捕まるわけには行きません。僕は近くの家に飛び込みました。」

 

🦒「信じられないことが起きました!市場から帰って来て、首を垂れたまま眠りについてしまった私の腕の中に、あの小さなライオンが飛びこんできたではありませんか!なぜ?と首を傾げましたが、そんなことはいいのです。この幸せを首を長くして待っていたのですから。」

 

🦁「ライオンです。知らない家に飛び込んだら、なんと先ほど僕を見ていたキリンさんの上に着地してしまいました。なぜかキリンさんは嬉しそうに笑っていました。僕はなんとなくホッとして横たわりました。気持ちとしては、lie on the laugh といったところでしょうか。」

 

🐮「牛です。どうも気になって4つの胃が痛むので、キリンさんの家を訪ねることにしました。借金の取り立てなんてしたくないのですが、リブロースにバラ肉は変えられません。」

 

🐮『すみませーん、牛です。キリンさんいらっしゃいますか?』

 

🦒「キリンです。危機キリンです。牛さんがいらっしゃいました。借金の取り立てに違いありません。もしこのライオンが見つかったら返済金の代わりに取り上げられてしまうかもしれません。あぁどうしたら。考えてもキリンがありません。とにかく出ましょう。」

 

🐮『キリンさん?いらっしゃいますか?』

🦒『はい、おはようございます。……借金の件ですよね?』

🐮『それをわかってくださってるなら話は早いです。そろそろお返し願えますかな?』

🦒『それが……手持ちがなくって……。本当に申し訳ございません。もう少しお待ちいただけませんか?この通りです。』

 

🦁「ライオンです。誰か来客のようで、キリンさんが扉を開けました。すっかり忘れていましたが、僕は市場の店主に追われていたのでした。うまくまけたとは思いますが、ちょっと様子を見てきましょう。」

 

🐮『いや、頭を上げてください。そういうことなら……もう少し、あら、それはライオンですかな?そういえば市場に売られていましたね……まさか、お買いに?』

 

🦒「キリンです。絶体絶命です。ここで買ったといえば牛さんはお怒りになるでしょう。しかし、正直に話せば店主のもとへ返さなければいけなくなります。どちらにしてもこのライオンとは離れ離れになってしまう。せめて近隣にはいたいのです。」

 

🦒『……その通りです。市場で一目ぼれをして買ってしまったのです。申し訳ございません。もし、もしよろしければですが、私はこのライオンを貴方に売ります。それで返済とさせていただけないでしょうか。』

🐮『なんですと?』

🦒『動物で借金を返済なんて馬鹿なことを言っているのはわかっています。でも、どうか、お願いできませんでしょうか。』

🐮『わかりました。いいでしょう。』

🦒『本当ですか!?でも、どうして?』

🐮『おや、知りませんか、ライオンというのはとても価値のある動物なのですよ。なんでも〈おはようからおやすみまで暮らしに夢を広げる〉とかで。』

 

🦒「キリンです。これで借金は無くなり、ライオンは牛さんが飼うことに決まりました。少し寂しいですが、いつでも会いに行っていいと言われたのでうれしいです。でも来年になったらライオンを買い戻そうと思います。そんなあてがあるのかって?実は来年、私が主役のドラマが始まるんです。だからそのお金でライオンを。タイガードラマでライオンを買おうって、思ってるんです。」

 

🦁「ライオンです。なんだかわからないうちに牛さんの家に行くことになりました。キリンさんとはほんの短いお付き合いでしたが、心が通じ合ったような気がします。キリンさんが来るの楽しみだなぁ。それではみなさん、ごきげんよう。」

浴槽にお湯を溜めながら。

私は今この文章を、浴槽にお湯を溜めながら書いている。

 

お湯が溜るまでの時間を埋めるためにこの文章を書いている。

 

浴槽がお湯に満たされていくスピードとこの待ち時間が埋められていくスピードとこの記事が完成するスピードは完全に連動している。

 

私がこの記事を書き終えるとき、浴槽はお湯で満たされているだろう。

 

お風呂場駄洒落。

 

浴槽をよくそうじする。

 

シャワーをしゃわーる(触る)。

 

シャンプーをしゃんぷ(散布)。

 

リンスを……。

 

リンスを……。

 

リンスを……。

 

リンスを……。

 

お湯が溢れたのでこの辺で。

読んだことない、尾崎紅葉。

今週のお題「紅葉」

 尾崎紅葉は読んだことがない。それどころか、今調べてみるまでずっと女の人だと思っていた。どうやら違うらしい。本名は徳太郎という事だ。おそらく、男だ。

 なぜ、女の人だと思い込んだのだろう。山村紅葉のせいだろうか。いや、だが、山村紅葉は女の人であっていただろうか?おそらく、そうだと思うが、尾崎の例からして自信はない。

 「紅葉」というものそのものが女性らしい印象があるのは間違いないだろう。赤や橙に染まった木々の暖かさや安心感は女性的だ。

 尾崎紅葉に話を戻そう。いや、読んだことがないのだから、話すこともないのだが。

 Wikipediaを見ていたら、「山田美妙らと研友社を設立し……」とあった。ぱっと目にした瞬間この「山田美妙」なる人物を女性だと思ってしまったのだが、この方もまた男性であるという。そもそも私の頭に浮かんだ読みは「やまだみさ」であった。しかし、「沙」ではなく「妙」。「やまだびみょう」と読むのが正解であった。

 どうもこのあたりの人物は名前の印象と実際の性がズレる。

 再び、尾崎紅葉。代表作は「金色夜叉」。名前くらいは聞いたことがあるが、どちらかといえば「犬夜叉」の方がなじみがある。ただ、こちらも読んだことは無い。

 高橋留美子作品で知っているのは、「らんま1/2」くらいだ。夕方の再放送の枠で放送していたのを見ていた。女らんまや他キャラクターの裸シーンにドキドキしながら見ていた。

 尾崎紅葉は37歳の時に胃癌でこの世を去ったという。紅葉が散るには早すぎる年齢だ。そういえば同じ苗字の尾崎豊は26歳で亡くなっている。尾崎紀世彦氏は肝臓癌で69歳の時に逝去された。一方、同じ尾崎でもジャンボ尾崎氏は72歳にして現役バリバリである。

ムロオの成長

今週のお題「〇〇の成長」

 2000年、12月31日、世紀末中の世紀末に生まれたムロオは超未熟児として生まれた。当時はいつまで生きられるかさえ分からない状況だったが、医者も目を瞠るほどの驚異的な生命力で、すくすくと大きくなった。

 生まれて一年が経った頃にはすでに健康そのもので、かえって平均よりも体は大きいくらいであった。

 それからさらに一年が経ったとき、つまり二歳の誕生日。ムロオの両親はムロオの体に小さな二つの痣があるのを見つけた。それは、ムロオの背中、肩甲骨のあたりに左右対称にあった。

 不審に思った両親は、ムロオを病院に連れて行ったが、原因は不明とのことであった。とはいえ、現時点で特に問題なしということもあり、しばらく様子を見る事にした。

 それから毎日、両親は痣の様子を見続けた。一か月ほど経ったあと、両親は痣のあたりに白い産毛が生えていることに気が付いた。両親はそのことを医者に話したが、やはり原因はわからなかった。

 日を経るごとに産毛は濃くなっていった。両親は心配な眼差しでそれを見つめながら優しく撫ぜた。そのころムロオは初めて「ママ」と言葉を発した。

 痣が白い毛に覆われたころ、両親はその中に突起があることに気が付いた。両親はそのことも医者に話したが、原因はわからなかった。

 日に日に大きくなっていく突起はやがて、平たい面を持ち始めた。ちょうど耳のひだのような感触である。その頃になって、両親は気が付き始めた。これは羽だ。天使の羽のようなものが徐々に徐々に生えてきているのである。

 ムロオが3歳になり、様々な言葉を覚えるようになったころ、それは完全な羽になった。白くふわふわとした毛に覆われた、人間にあるはずのない一つの器官。レントゲン写真には骨が通っているのが見えた。

 そのころ、ムロオの様子を見に、何人もの医者が訪ねた。こんなことは前代未聞であると彼らは口をそろえた。新聞にも取り上げられ、ムロオは「天使の子」として有名になった。

 両親はそのような事態に面食らいながらも、どこかで喜びを感じていた。あれほど弱弱し気に生まれてきた我が子が今では普通の子以上の体を手にし、人々の注目を集めている。そのことが誇らしくさえ感じられた。

 ムロオはCMに抜擢され、企業のイメージキャラクターにもなった。ランドセルもチョコレート菓子も飛ぶように売れた。それと同時にムロオも飛ぶようになった。今ではすっかり大きくなった(それでもムロオの顔くらいであるが)羽を、細かくパタパタと動かすことで、体がふわっと宙に浮くのだ。宙に浮いてからも動かし続けると、体は高度を上げ、スピードも出てくる。

 それからというもの両親はムロオが飛んでいかないように常に気を配った。外に出るときはしっかりと抱き、歩かせるときにはひもを繋いだ。

 ある時、母親が庭のベランダに洗濯物を干していた折に玄関チャイムがなった。ムロオは積木で遊んでいた。金木犀の香りが鼻孔をくすぐり始めた初秋、気が抜けていた。窓を開け放したままその場を離れてしまったのだ。

 すぐに気が付いた母は大急ぎで階段を駆け戻ったが、すでにそこにムロオの姿はなかった。お城の形に積まれた積木だけが、窓からの日差しに影を作っていた。

 その後、ムロオの捜索は大規模に行われた。警察はもちろん、市民の協力も手伝い、延べ1万人が一週間以上ムロオの名を呼び続けた。しかし、2019年11月現在、ムロオは見つかっていない。

 ムロオが生きていれば彼は今年で19歳になる。彼の背中にはまだあの天使の羽が生えているのだろうか。

 

夕暮れを苛む

 徹夜明けの咽喉の痛みを食い破りながら、男はドアを開けた。真夏のうでるような暑さが全身を包む。男の顔が歪んだ。

 古いアパートの階段を降りると、一匹のネコが座っていた。薄汚れているが、体はずんぐりと太っている。通りすがりに餌を貰い貰い生きているのだろう。男が近づくとネコは逃げた。思いのほか軽やかな身のこなしであった。

 男が商工会議所のデスクに着いたのは9:30のことであった。今日は会議が入っている。

「お、林君、今日は早いじゃない。」

 汗に濡れた頭皮を光らせながら、山田が声をかけてきた。曖昧な返事をすると、彼はつづけた。

「昨日さ、僕、凄いもの見ちゃったんだ。」

「え?凄いものって?」

「UFOだよ、UFO。」

 爛々とした目で語る山田は真剣な様子であった。五十にもなる男が真剣にUFOの目撃談を語る様は滑稽でもあった。

「UFOですか?」

「そうだよ、UFO。昨日、家に帰る途中でさ、ふと空を見上げたら見つけちゃったのよ。」

「どんな形だったんですか?」

「えっとね、なんかこう四角かったな。箱型、みたいな感じ。」

「箱型のUFOなんて聞いたことないですよ。」

「でも見ちゃったんだからしょうがないじゃない。箱型のUFOがプカプカ空を飛んでたんだよ。ね、凄いだろう?」

 そんな話をしている内に会議の時間となった。

つづく。

コンビニのアイスコーナー ~「迷い」と「決断」と「アイス」と「私」と~

 コンビニのアイスコーナーは、何よりも私を迷わせる。

 第一に、そもそもコンビニでアイスを買うかどうか、迷う。一般的に言って、スーパーやドラッグストアよりコンビニの品物は値段が高い。それは大抵のものに当てはまるのだろうけれど、アイスが最も顕著であろう。スーパーで78円で売ってるものが140円も払わなければ手に入らない。ちょっと足を延ばせば78円で買えるというのに、その倍近い値段で購入することの、覚悟。それが私にはあるのか。

 その覚悟ができたとして次にくるのは、何を買うか、という迷い。まずはアイスの中でジャンルを決める。氷菓系、クリーム系、カップ系、棒系。まだそれほどの暑さではないと、氷菓系を排除。家に帰ってから食べたいから、と溶けると食べにくい棒系を排除。クリーム系×カップ系に狙いを絞る。

 店内の放送では若手芸人の賑やかなトークが流れる。店員同士の雑談が耳に障る。五十そこそこの男が脂ぎった頭皮を露わにしたまま、エロ本のページをめくる。神経が研ぎ澄まされる。

 MOW、爽、スーパーカップ、という御三家にプライベートブランド商品を含め6~7種類が候補に残った。まずは消去法。アイス界の中谷美紀、高根の花スーパーカップsweet'sがまず消える。更に微細氷を特徴とする爽は猛暑日用にと、今日のところは保留。チョコミントは苦手、プライベートブランドの内一つが消えた。

 そんなこんなで、残ったのはMOWのエチオピアモカコーヒー味、スーパーカップバニラ味の二つ。森永VS明治の因縁対決である。

 この時点ですでに入店から30分が経過している。いつの間にか店内には私と店員以外の人間がいなくなっていた。妙な静けさの中で、私はつばを飲み込む。

 まず考えるのは、今の自分の気分が、未だ食したことのない「エチオピアモカコーヒー味」にチャレンジする「冒険」なのか、お馴染みの「バニラ味」をとる「保守」なのかということである。しかし、ここにおいて、私はどちらにも傾きかねる。未知の味に対する期待と、いつも通りの安心感、どちらも同じだけ欲している。もしかしたらこの感覚は不倫に近いのかもしれない。山路徹はこんな気持ちだったのか。

 となると、次に考えなければならないのは、容量。スーパーカップはその名を名乗るだけあって、200mlという大容量。それに比べMOWは140ml、値段が140円でバランスしているだけにこの差は大きい。

 しかし一方で輝くのはMOWにおける「種類別 アイスミルク」の文字。それに対してスーパーカップは「ラクトアイス」。今回、第三者的立ち位置を取るGlicoのホームページ内の「なぜ?なに?コーナー」を参照すると、乳固形分が3.0%以上のものがラクトアイス、10.0%以上のものがアイスミルクという事だ。(さらに15.0%以上になると「アイスクリーム」と区分される。)乳固形分の含有比率の大きさはそのままクリーミーさに影響する。その意味で、よりクリーミーといえるアイスミルクのMOWに質という視点での軍配をあげたい。

 「質」を取るか「量」を取るか、という単純な問いではない。双方のバランスを考えたうえで、どちらに決断するのか。純然たる「迷い」がここにはある。

 時を刻む秒針の音が鼓膜を震わす。手汗がじんわりと浮いてくる。「総理、そろそろご決断を」と心秘書が耳に囁く。「うむ。」心で返し、僕はゆっくりと、手を伸ばす。

 家に帰り、レジ袋からアイスを取り出す。紙製のフタをめきりと開け、プラスチックの内フタをぴりぴりと剥す。露わになったクリーム色の雪面、そう、スーパーカップバニラ味である。木の匙で表面をすっとすくい、口の中へ。ほのかに溶けたその甘味にエクスタシーに似たものを感じながら、二口目を運ぶ。美味、である。

 半分ほど食べたところで蓋をし、再びレジ袋に手を入れる。取り出したのはMOWエチオピアコーヒー味。点線に沿ってぱりぱりと紙の蓋を取り、プラスチックを剥すと、うす茶色の土壌が見える。コーヒーの香りが鼻腔をくすぐる。一口食べるとクリーミーな舌触りに、口いっぱいにコーヒーの風味が広がる。エチオピアの風景が眼前に広がる。

 こちらも半分ほど残したところで蓋をした。残りは明日のお楽しみである。結局どちらにも決められなかった私は、両方購入し、二日に渡って消費することとしたのだ。そうすれば一日分の金額は変わらず、両方の味を楽しめる。

 何かを迷ったとき、視野を広げてみてほしい。選択肢は思ったより多い。一見、二択のようなクエッションに第三の答えを探してみるのだ。その第三の答えはきっとあなたの決断を支えるだろう。